天馬星(てんませい)とは:紫微斗数での意味と入る宮ごとの読み方
同じ星でも、どの宮に入るか、どの星と組むかで意味が変わります。星一つだけで吉凶は決められません。
天馬星の本質は「動くかどうか」
天馬星(てんませい)は移動、位置の変化、奔走、環境の変化をつかさどります。命盤にこの星があれば、まず読み取れるのは、この人やこの物事がじっとしていられず、流れを必要としていることです。吉凶はそのあとに見ます。住む街を変える、会社を変える、プロジェクトを変える、協力相手を変える。どれもこの星の範囲で、海外に出ることだけを指すわけではありません。
天馬星そのものに吉凶はありません。方向性のある主星と組めば開拓になり、地空星(ちくうせい)や地劫星(ちこうせい)と組めば空回りしやすくなります。そばにどの星があるかで決まります。
配置は寅・申・巳・亥だけ
天馬星は生まれ年の地支で配置されます。申・子・辰年生まれは寅、寅・午・戌年生まれは申、巳・酉・丑年生まれは亥、亥・卯・未年生まれは巳です。ですから天馬星は寅・申・巳・亥の四つの宮にしか現れず、命理ではこの四宮を「四馬の地」と呼びます。生まれつきの天馬星の位置は一生変わりません。
天馬星は一生の下地です。あなたが生まれつきどの分野で特にじっとしていられないかは、生まれつきの天馬星がどの宮にあるかを見るのがいちばんの近道です。流年が生まれつきの天馬星のある宮に巡ってくれば、その年に何が動くかはその宮で見ます。
禄馬交馳と、よく見る組み合わせ
禄馬交馳(ろくばこうち)は、天馬星について最もよく語られる格局です。古書では、禄存星(ろくぞんせい)と天馬星が同じ宮にあることを禄馬交馳と呼びます。化禄と天馬星の組み合わせはこの格名では呼びませんが、やはり収入があって動きもある組み合わせです。禄存星が寅・申・巳・亥にあるときは天馬星と同じ宮に入ることがあり、たとえば甲子年生まれなら禄存星は寅、天馬星も寅です。一方に財源があり、一方に動きがあるので、駆け回る必要があってもきちんとお金になる仕事に向きます。天馬星だけで禄がないと、よく動くのにお金が残らない、という形がよく見られます。
天馬星が截路空亡(せつろくうぼう)に遇う場合(生まれつきの命盤では甲・辛・壬年生まれの人だけに起こります)、古書は「馬遇空亡、終身奔走」と言います。天馬星が空亡に遇えば、一生あちこち駆け回るという意味です。天馬星が地空星・地劫星に遇うのは別の話で、計画が空振りしやすいので、スケジュールと予算をはっきり書いておくことです。破軍星(はぐんせい)や貪狼星(どんろうせい)が禄と馬に遇うと、古書は「男多浪蕩」、つまり男性は落ち着かず遊びがちだと評しますが、現代では、気持ちが定まらず進路を変えやすいと読むのが一般的です。天馬星と陀羅星(だらせい)が同じ宮にあると「折足馬」(足を折った馬)と呼ばれ、動きたいのに手続きや遅れに足を取られがちです。天馬星が天相星(てんそうせい)や天府星(てんぷせい)のような落ち着いた星と同じ宮にあるか会照すると、動きの幅は小さくなります。動くことに変わりはありませんが、より安全な方法を選びます。
仕事・金運における天馬星
仕事では、移動、開拓、地域をまたぐ動きが必要なポジションが向いています。営業、流通・販路開拓、海外や地方への赴任、運輸、観光、国境をまたぐ仕事などです。共通しているのは、場所や相手が変わることです。決まった場所で決まった手順をくり返す仕事では、天馬星の持ち味が生かせず、気持ちが沈みます。
財帛宮にあれば、動く中でお金を得る形で、成果報酬型や外回り型の収入が向いています。官禄宮にあれば、職務そのものに外回りや地域をまたぐ性質があります。財帛宮と官禄宮は命宮と同じ三合にあるので、動くだけの価値があるかどうかは、あなた自身のペースが速いかどうかに立ち返って見ます。
恋愛・人間関係における天馬星
恋愛での天馬星は、会える時間が少ない、遠距離、あるいはお付き合いのテンポが速いという形で出ます。二つの街に分かれて住むこともあれば、一緒に暮らしていても互いに忙しいこともあります。この星がつかさどるのは距離とテンポで、別れるかどうかではありません。毎日会うことより、決まった共通の時間があるかどうかのほうが大切です。
友人関係では、天馬星は行き来が多く、入れ替わりも早い形をもたらします。協力相手が人より頻繁に変わり、人生のどの段階でもつながっていられる人は多くありません。
天馬星によくある誤解
いちばん多い誤解は、天馬星があれば必ず海外に出る、必ず奔走する、というものです。この星が表すのはじっとしていられず流れを必要とすることで、海外はその一つの形にすぎません。海外に出たかどうかで天馬星を確かめようとすると、読み違えやすくなります。
もう一つの誤解は、天馬星をそのまま吉星か凶星として扱うことです。天馬星は中立の動きの星で、同じ天馬星でも命盤が違えば結果が正反対になることもあります。同じ宮の主星、禄存星や化禄が届いているか、地空星・地劫星や陀羅星が一緒に出ていないかを見ます。
ほかの星との違い
遷移宮との比較。遷移宮は宮の一つで、慣れた範囲を離れたあとの状況を見ます。天馬星は星の一つで、「動く」ことを表します。二つはよく合わせて見ます。
化禄との比較。化禄はチャンスやお金を払ってくれる人を近づけ、天馬星はあなたがどの方向へ受け取りに行くかを決めます。古書の禄馬交馳は、禄存星と天馬星が同じ宮にあることだけを指します。
擎羊星(けいようせい)との比較。擎羊星はぶつかり合いで、突然やってきて摩擦を伴います。天馬星は位置が変わるだけです。
十二宮別に見る、天馬星が動かす分野
【命宮】じっとしていられず、変化が多く、人生のテンポが人より速い配置です。【兄弟宮】きょうだいがそれぞれ別の土地にいて、会える機会が少なめです。【夫妻宮】遠距離や、二人とも忙しい関係で、決まった共通の時間が必要です。
【子女宮】子どもが活発で活動が多く、地元を離れて学ぶこともあります。【財帛宮】動く中でお金を得る形で、成果報酬型や外回り型の収入が向いています。【疾厄宮】奔走からくる疲れが出やすく、生活リズムと睡眠がいちばん乱れやすい配置です。
【遷移宮】外に出る、赴任する、よその土地で活躍するというしるしが最もはっきり出ます。遷移宮は命宮の対宮なので、本人も同じ動きの線上にいます。【奴僕宮】人の出入りが多く、協力相手が早く入れ替わります。【官禄宮】外回りや地域をまたぐ性質の職務です。
【田宅宮】引っ越しが多く住まいがよく変わるか、住まいを二か所持つこともあります。【福徳宮】落ち着いていられず、何もしていないとかえって不安になります。【父母宮】目上の人と離れて暮らすか、目上の人自身がよく外を飛び回っています。